本人に合った正しい病院を選択し入院することが大切。

とある認知症の患者さんが入院されてまして、その方はすごく穏やかで良く笑う方でした。

しかし自宅にいる時から足の筋力が落ちて転倒を繰り返していたそうです。

病院へ入院した当初はフリーで見ていたのですが、やっぱり目を離した隙に転ぶ、ベッドから落ちるなんてこともあったわけです。

転んで骨折や頭を打ったなんてことになったらさらに状態が落ちることは目に見えているので、日中は車椅子にベルトをつけて看護師の目の届くところで過ごしてもらう、夜は転落防止のため一時的な拘束をせざるを得ない状況になりました。

看護師だって人間ですから本来そんなことはしたくないので、複雑な気持ちです。身体拘束になってからもその方は穏やかに明るく過ごされていました。

しかしある時から、夜になると家に帰らせてほしいと看護師に激しく訴えるようになりました。

その方に話を聞いてみると「ここの人はみんないい人だけど、トイレに行こうとしてちょっとでも動くと、どこにいくのって言われてもうさすがに限界なの」と、自分の意思で動けないことにストレスを募らせていたようです。

看護としては転んで怪我をさせたくない気持ち、本人としては自分でやりたい気持ちが平行しているようでした。

私が働いている病院はリハビリを専門的にやっていないので、1人で歩けることが最終目標の人は遠回りになってしまうし、ではなんで入院してるの?と言われたら患者さんに危険が及ばないよう保護しているだけ、ということになります。

入院している本人にとっても家族にとっても何故入院が必要なのかを明らかにして、最終的にどうなることを望むのかを考え、その人にあった病院へ入院し治療を受けられるようになったらいいなと思います。